PoC計画書
このひな形でできること
AIのPoCの目的・範囲・期間・体制と、成功・撤退の条件を始める前に1枚の計画書にまとめ、決裁者と合意できます。
ガイド「PoCの進め方:成功と撤退の条件の決め方」で説明している考え方に合わせて作ったWordのファイルです。項目ごとに表になっていて、[ ]の空欄を埋めると計画書になります。結果の欄も用意しているため、PoCが終わった後の報告と判断にもそのまま使えます。
使い方
① 確かめる問いを1〜2個に絞って書きます。 「役に立つか」「使えるか」「続けられるか」のうち、いまわかっていないことを中心にします。
② 範囲を具体的に決めます。 対象の業務・部署・データ・利用者を書きます。扱うデータが社内の利用ルールの範囲に収まるかも、この段階で確かめます。
③ 期間と中間の確認日を決めます。 準備・試行・振り返りの3つを期間に含め、途中で方向を直せるように中間の確認日を入れます。
④ 体制を書きます。 決裁者・責任者・現場の利用者・技術の担当を、名前と役割で書きます。決裁者には始める段階から関わってもらいます。
⑤ 基準値を測っておきます。 成功の条件を数字で書くために、PoCの前のいまの作業時間や件数を記録します。測り方は「AIの効果の測り方」が参考になります。
⑥ 成功の条件と撤退の条件を書きます。 成功の条件は数字と状態の両方で3〜5個にし、「必須」と「あるとよい」を分けます。撤退の条件と、延長する場合の回数の上限もあわせて決めます。
⑦ 費用・リスク・本番の見込みを書きます。 PoCの費用に加えて、本番で使う場合の費用と体制の見込みも書いておくと、結果が出たときにそのまま判断に進めます。
⑧ 判断の日程を決め、決裁者と合意します。 結果を見て「進む・直して続ける・止める」を決める日を、始める前に決めておきます。
中身(見出し)
| 見出し | 書く内容 |
|---|---|
| 1. 基本情報 | 計画の名前、作成日、作成者、版 |
| 2. 目的と確かめる問い | 目的(一文)、確かめる問い(1〜2個)、問いの種類 |
| 3. 範囲 | 対象の業務・部署・データ・利用者・使うツール、範囲に含めないこと |
| 4. 期間 | 準備・試行・振り返りの期間、中間の確認日 |
| 5. 体制 | 決裁者・責任者・現場の利用者・技術の担当(社外を含む) |
| 6. 基準値 | 指標、いまの値、測り方、測った期間 |
| 7. 成功の条件 | 数字の条件・状態の条件、必須とあるとよいの別、測り方 |
| 8. 撤退の条件 | 止める・方向を変える条件、延長の回数の上限 |
| 9. 費用 | PoCの費用(利用料・設定・作業時間)と、本番で使う場合の見込み |
| 10. リスクと対策 | 情報の扱い、誤った出力、現場の負担などと対策 |
| 11. 判断の日程 | 中間の確認日、最終の判断日、判断の場の参加者 |
| 12. 本番の見込み | 広げる範囲と順番、運用の体制、利用ルール・権限・記録 |
| 13. 結果と判断(終了後に記入) | 条件ごとの結果と根拠、判断、学んだこと |
| 変更の記録 | 日付、変えた内容、理由、了承した人 |
記入例
架空の会社「株式会社〇〇」の営業部が、見積もりの下書きでPoCを行う場合の例です(数字は説明のための例です)。
- 確かめる問い: 過去の見積書を参考にAIが作る下書きで、作成の時間が減り、品質が保てるか(役に立つか)
- 範囲: 営業部の見積もり作成のうち、下書きを作る作業。利用者は5名、対象のデータは過去2年分の見積書(お客様名は伏せて扱う)
- 期間: 準備2週間、試行6週間、振り返り1週間。中間の確認日は試行の3週目
- 成功の条件(必須): 下書きの作成時間が平均で3割以上短くなる/修正なしで使える下書きが7割以上ある
- 成功の条件(あるとよい): 利用者の過半数が「本番でも使いたい」と答える
- 撤退の条件: 中間の確認日の時点で、修正なしで使える下書きが3割未満にとどまる/使うデータを社内のルールの範囲で用意できないとわかる。延長は1回まで
使うときの注意
- 自社の規程・契約に合わせて直してください。 決裁の手続き、予算の取り方、社外への依頼の契約は会社ごとに違います。社内の決裁の書式がある場合は、その項目に合わせて直してお使いください。
- 扱うデータは利用ルールと照らし合わせてください。 個人情報や取引先から預かった情報を使う場合は、PoCの段階から社内の利用ルールや契約の条件を確かめます。法令に関わる判断は、弁護士などの専門家に確かめていただくと安心です。
- 期間の目安は業務によって変わります。 期間は、確かめる問いに答えが出る最短の長さにします。長くなりそうなときは、範囲を狭めて段階に分けるほうが判断しやすくなります。
- 止めた場合も記録を残してください。 「この業務には向いていなかった」「このデータの整理が先に必要」といった学びは、次の取り組みの出発点になります。
- このひな形は参考のための資料で、監査・評価・認証に代わるものではありません。
よくあるご質問
Q計画書は誰が書けばよいですか?
APoCの進行と記録をまとめる責任者が下書きを作り、現場の利用者と技術の担当に確かめてもらう進め方があります。最後に決裁者が目を通し、成功と撤退の条件に合意しておくと、結果が出た後の判断が速くなります。
Q途中で計画を変えてもよいですか?
A中間の確認日に、範囲や進め方を直すことはあります。変えた内容と理由を「変更の記録」の欄に残しておくと、結果を判断するときに前提がわかりやすくなります。成功と撤退の条件を変える場合は、決裁者の了承を得ておくと安心です。