業務の棚卸し表
このひな形でできること
業務を作業の単位に分けて書き出し、月にかかる時間と「効果×難しさ」の優先度を表の上で計算して、AIを使う候補を選べます。
ガイド「AIを使う業務の選び方:業務の棚卸しから優先順位まで」で説明している手順に合わせて作ったExcelのファイルです。頻度・1回あたりの時間・人数を入れると、月の時間が数式で計算されます。効果と難しさを高・中・低で選ぶと、優先度の区分(最初に取り組む候補・段階的に進める・使い方集で共有・いまは見送る)が表示されます。
使い方
① 範囲を決めます。 1つか2つの部署、または一つの業務の流れ(例:問い合わせ対応、見積もり作成)に絞ります。
② 業務を作業の単位に分けます。 「棚卸し表」のシートに、業務の名前と、動詞で表せる作業(例:依頼メールを読み条件を整理する)を1行ずつ書きます。
③ 作業ごとの情報を書きます。 頻度(日・週・月・年から選択)、1回あたりの時間(分)、1回の単位あたりの回数、関わる人数、使っている情報、判断の重さ、困っていることを書きます。月の回数と月の時間(時間)は数式で計算されます。
④ 現場に聞きます。 実際に作業している人に「どの作業に時間がかかるか」「くり返しが多い作業は何か」を聞き、数字を直します。
⑤ AIに向くかを書きます。 「向く/一部向く/向きにくい」から選び、理由を書きます。向きにくい作業も、細かく分けると一部は任せられることがあります。
⑥ 効果と難しさを3段階で評価します。 業務を知る人と管理部門の人が一緒に、高・中・低を選びます。優先度の区分が自動で表示されます。
⑦ 最初の1件を選び、見直しの時期を決めます。 「最初に取り組む候補」の中から、効果が数字で見えやすく、失敗しても影響が小さい作業を選びます。表は半年ごとなどに見直します。
中身(見出し)
| シート | 内容 |
|---|---|
| 使い方 | 記入の手順、各列の意味、色の凡例、優先度の4つの区分の説明 |
| 棚卸し表 | 番号、部署、業務、作業(動詞で)、担当、頻度、1回あたりの時間(分)、単位あたりの回数、人数、月の回数(数式)、月の時間(数式)、使っている情報、判断の重さ、困っていること、AIに向くか、理由、効果、難しさ、優先度(数式)、メモ |
| 集計 | 月の時間の合計、優先度の区分ごとの件数と月の時間(数式) |
月の回数は、頻度に応じて「日=20日」「週=4.3週」「月=1」「年=1/12」で換算しています(「使い方」のシートで換算の値を変えられます)。月の時間は「1回あたりの時間×月の回数×人数÷60」で計算します。
優先度は、効果と難しさの組み合わせで次のように表示されます。
- 最初に取り組む候補: 効果が「高」または「中」で、難しさが「低」
- 段階的に進める: 効果が「高」または「中」で、難しさが「中」または「高」。データの整備やルールの準備から始めます
- 使い方集で共有: 効果が「低」で、難しさが「低」または「中」。個人の工夫として共有します
- いまは見送る: 効果が「低」で、難しさが「高」。理由を残しておきます
効果と難しさを選ぶときは、次の目安を参考にしてください。
- 効果: いまかかっている時間の大きさ、品質のばらつきが減るか、お客様への対応が早くなるか、担当者の負担が減るか
- 難しさ: 扱う情報の重さ、必要なデータがそろっているか、既存のシステムとつなぐ必要があるか、間違えたときの影響、関わる部署や人の多さ
記入例
架空の会社「株式会社〇〇」の総務部の例です(数字は説明のための例です)。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 業務 | 社内会議の運営 |
| 作業 | 会議のメモから議事録を整理する |
| 頻度・時間・回数・人数 | 週・45分・3回・1名 |
| 月の時間(数式) | 約9.7時間 |
| 判断の重さ | 低(社内向け、参加者が確かめられる) |
| AIに向くか | 向く(要約・整理の作業で、人が最後に確かめられる) |
| 効果・難しさ | 効果:中、難しさ:低 → 優先度:最初に取り組む候補 |
使うときの注意
- 自社の業務と規程に合わせて直してください。 列は一般的な項目の例です。部署ごとに必要な列を足したり、使わない列を消したりしてかまいません。
- 扱う情報の区分を確かめてください。 候補の作業が、利用ルールで入力が認められていない情報を扱う場合は、取り除けるかを先に確かめます。区分は「入力してはいけない情報の一覧(入力してはいけない情報の一覧)」と合わせて見ると判断しやすくなります。法令に関わる判断は、弁護士などの専門家に確かめていただくと安心です。
- 見積もりは仮の数字として扱ってください。 AIでどの程度時間が減るかは、試してみないとわからないことが多くあります。候補に選んだ作業は、PoCや試行で確かめます。
- 「見送る」作業も理由を残してください。 データの整備やツールの変化で、向くようになることがあります。見直しのときに改めて検討します。
- このひな形は参考のための資料で、監査・評価・認証に代わるものではありません。
よくあるご質問
Q時間や回数の数字は正確でないといけませんか?
A最初は担当者の感覚での「おおよそ」で十分です。全体が早く見えることを優先し、候補に選んだ作業だけ、試す前に基準値として測り直す進め方があります。
Q効果と難しさの評価は誰がすればよいですか?
A業務をよく知る人と、情報システムや管理部門の人が一緒に評価すると、見落としが減ります。評価の理由を「メモ」の列に残しておくと、見直しのときに判断の根拠がわかります。