AIへの投資の判断シート
このひな形でできること
AIへの投資の費用・期間・期待する効果・成功と撤退の条件を1つのファイルに書き、費用と効果の差や回収の目安を数式で確かめて、判断の結果を記録できます。
ガイド「PoCの進め方:成功と撤退の条件の決め方」と「AIの効果の測り方:時間・費用・品質の指標」で説明している考え方に合わせて作ったExcelのファイルです。費用と効果を入れると、評価期間の合計・差・回収の目安が数式で計算されます。成功の条件と撤退の条件は始める前に書き、結果は判断の前に記入します。
使い方
① 案件の名前と評価期間を決めます。 「判断」のシートに、何にAIをどう使う案件かと、効果を見込む期間(月)を書きます。
② 費用を書き出します。 「費用」のシートに、初期費用と継続費用(月額)を1行ずつ書きます。ツールの利用料だけでなく、準備・研修・確認にかかる社内の作業時間も費用に含めます。
③ 期待する効果を書きます。 「効果」のシートに、指標・いまの値・目標の値を書きます。金額にできる効果は、月あたりの金額の目安と根拠を書きます。
④ 期間と条件を決めます。 「条件と期間」のシートに、準備・試行・中間の確認・判断の日程と、成功の条件・撤退の条件を書きます。
⑤ 集計と確認の項目を見ます。 「判断」のシートで、費用と効果の合計・差・回収の目安を確かめ、8つの確認の項目に答えます。
⑥ 判断を記録します。 判断の場で、進める・条件付きで進める・見送る・保留のいずれかを選び、理由・条件・次の見直し日・決裁者を書きます。
記入の流れ
- 案件と評価期間「判断」のシートに、案件の名前と効果を見込む期間(月)を書きます
- 費用「費用」のシートに、初期費用と継続費用(月額)を。社内の作業時間も含めます
- 期待する効果「効果」のシートに、指標・いまの値・目標の値を書きます
- 期間と条件「条件と期間」のシートに、日程と成功の条件・撤退の条件を書きます
- 集計と確認「判断」のシートで合計・差・回収の目安を確かめ、8つの確認の項目に答えます
- 判断の記録進める・条件付きで進める・見送る・保留から選び、理由などを書きます
中身(見出し)
| シート | 内容 |
|---|---|
| 使い方 | 記入の手順、各シートの内容、数式の内容、判断の目安、色の凡例 |
| 判断 | 案件の名前、評価期間、初期費用・継続費用・評価期間の費用の合計(数式)、効果の目安の合計(数式)、差と回収の目安(数式)、条件の件数(数式)、確認の項目と「はい」の数(数式)、判断の記録 |
| 費用 | 番号、区分(初期費用/継続費用(月額))、項目、内容・根拠、金額、評価期間の合計(数式)、メモ |
| 効果 | 番号、効果の種類、指標、単位、いまの値、目標の値、月あたりの金額の目安、金額の根拠、測り方、確かめる日 |
| 条件と期間 | 段階ごとの開始日・終了日・日数(数式)・担当、成功の条件・撤退の条件(必須かどうか・確かめる日・結果・根拠) |
数式の内容は次のとおりです。
- 評価期間の合計: 継続費用(月額)は「金額×評価期間(月)」、初期費用は金額のまま
- 差: 評価期間の効果の目安から、評価期間の費用の合計を引いた値
- 回収の目安(月): 初期費用の合計÷(効果の月額の目安−継続費用の月額)。月の効果が継続費用を下回る場合は、その旨を表示します
判断は、次の目安で選びます。
- 進める: 成功の条件のうち必須のものに見込みがあり、確認の項目がそろっている
- 条件付きで進める: 範囲を絞る、期間を区切るなど、条件を付ければ進められる
- 見送る: 撤退の条件に当てはまる、または費用に見合う効果が見込めない
- 保留: 判断に必要な数字や確認がそろっていない
判断の4つの目安
- 進める成功の条件のうち必須のものに見込みがあり、確認の項目がそろっている
- 条件付きで進める範囲を絞る、期間を区切るなど、条件を付ければ進められる
- 見送る撤退の条件に当てはまる、または費用に見合う効果が見込めない
- 保留判断に必要な数字や確認がそろっていない
記入例
架空の会社「株式会社〇〇」の営業部が、見積もりの下書きに生成AIを使う場合の例です(数字は説明のための例です)。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 評価期間 | 12か月 |
| 初期費用 | 設定と社内の資料の準備(社内の作業):240,000円 |
| 継続費用(月額) | 生成AIツールの利用料:60,000円 |
| 効果(時間) | 見積もりの下書きの作成時間:月120時間→80時間。月あたりの金額の目安120,000円(時間の価値の目安) |
| 効果(品質) | 見積もりの手直しの件数:月15件→10件(金額にしにくいため空欄) |
| 数式の結果 | 評価期間の費用の合計960,000円、効果の目安1,440,000円、差480,000円、回収の目安4.0か月 |
| 成功の条件 | 下書きの作成時間が、平均で3割以上短くなる(必須) |
| 撤退の条件 | 中間の確認で、手直しなしで使える下書きが3割未満にとどまる |
| 判断 | 条件付きで進める(営業部の5名に限り、3か月後に再度判断する) |
使うときの注意
- 効果の金額は見込みとして扱ってください。 減った時間はほかの業務に使われることが多く、すぐに人件費が減るとは限りません。金額は「時間の価値の目安」として扱い、実際の費用の削減とは分けて説明します。
- 社内の作業時間も費用に含めてください。 利用料だけで比べると、準備・研修・確認にかかる時間が見えなくなります。
- 条件は始める前に決めてください。 結果を見てから条件を決めると、判断がぶれやすくなります。PoCの計画は「PoC計画書(PoC計画書)」、効果の記録は「効果測定シート(効果測定シート)」と合わせて使うと進めやすくなります。
- 自社の決裁の手続きに合わせて直してください。 社内の稟議の書式がある場合は、その項目に合わせて列を足したり消したりしてかまいません。契約や法令に関わる判断は、弁護士などの専門家に確かめていただくと安心です。
- このひな形は参考のための資料で、監査・評価・認証に代わるものではありません。
よくあるご質問
Q効果を金額にできない場合はどうすればよいですか?
A品質の向上や担当者の負担の軽減など、金額にしにくい効果は、金額の欄を空欄にして指標といまの値・目標の値を書きます。判断の場では、金額の差とあわせて、状態の変化として説明すると伝わりやすくなります。
Q評価期間は何か月にすればよいですか?
Aツールの契約の期間や、効果が出るまでの見込みに合わせて決めます。はじめは6〜12か月程度で見て、試行の結果が出たら見直す使い方があります。評価期間を変えると、継続費用と効果の合計が数式で計算し直されます。