AIの委託先・サービスの確認リスト
このひな形でできること
AIのサービスや開発の委託先を選ぶときに、情報の扱い・学習への利用・保存場所・認証・事故の対応・契約の終了時のデータを項目ごとに確かめ、根拠と判断の結果を記録できます。
ガイド「AI事業者ガイドラインの読み方:AIを使う会社がやること」と「生成AIの利用ルールの作り方(ひな形つき)」で触れている、ツールの承認の目安を確かめるためのWordのファイルです。確認の項目ごとに「はい・いいえ・確認中」と、根拠にした資料の名前と条項を書きます。開発を委託する場合の追加の項目も入れています。
使い方
① 基本情報を書きます。 確認する相手、サービス・委託の内容、使う部署と目的、扱う情報の区分、契約の種類を書きます。
② 公開されている資料を集めます。 利用規約、プライバシーポリシー、セキュリティの資料、法人向けの契約書の案などを集めます。
③ 項目ごとに確かめます。 「情報の扱い」から「契約の終了時のデータ」までの項目に、はい・いいえ・確認中を付け、根拠の資料と条項を書きます。
④ わからない点を質問します。 資料に書かれていない点は、相手の会社に質問して回答を記録します。
⑤ 開発を委託する場合は、追加の項目も確かめます。 成果物の権利、当社のデータの扱い、品質の確かめ方、保守の範囲を確かめます。
⑥ 判断を記録します。 「いいえ」「確認中」の項目への対応を書き、使う・条件付きで使う・使わない・確認を続けるのいずれかを選びます。次の確認日も決めます。
確認の流れ
- 基本情報確認する相手、内容、使う部署と目的、扱う情報の区分、契約の種類を書きます
- 資料を集める利用規約、プライバシーポリシー、セキュリティの資料などを集めます
- 項目ごとに確かめるはい・いいえ・確認中を付け、根拠の資料と条項を書きます
- わからない点を質問する資料に書かれていない点は相手の会社に質問し、回答を記録します
- 委託の追加の項目開発を委託する場合は、成果物の権利、データの扱い、品質、保守の範囲を確かめます
- 判断を記録する使う・条件付きで使う・使わない・確認を続けるから選び、次の確認日も決めます
中身(見出し)
| 見出し | 確かめること |
|---|---|
| 1. 基本情報 | 確認する相手、サービス・委託の内容、使う部署・目的、扱う情報の区分、契約の種類、確認者・確認日 |
| 2. 情報の扱い | データの利用目的、相手の会社の中で見られる人、再委託の有無と条件、個人情報の安全管理の措置、取引先との契約との関係 |
| 3. 学習への利用 | 学習に使われるか、使われない設定とその既定、管理者がまとめて設定できるか、人がデータを見ることがあるか、規約の変更の知らせ方 |
| 4. 保存場所と保存期間 | 保存される国・地域、保存の期間と削除の方法、バックアップや記録の扱い、暗号化 |
| 5. 認証と管理 | 会社のアカウントでの管理、多要素認証、権限の設定、操作の記録、第三者による認証や報告書、脆弱性への対応 |
| 6. 事故の対応 | 連絡の窓口と期限、連絡の内容と報告の流れ、個人データの漏えいなどへの協力、障害のときの連絡、責任の範囲 |
| 7. 契約の終了時のデータ | データの返却と形式、削除の方法と確かめ方、終了後に残る期間、移行の支援 |
| 8. 開発を委託する場合(追加) | 成果物の権利、当社のデータのほかの目的への利用、品質の確かめ方と受け入れの条件、保守の範囲と費用 |
| 9. 確認の結果と判断 | 「いいえ」「確認中」の項目と対応、判断、使う場合の条件、次の確認日、承認者 |
| 参考にできる公的な資料・変更の記録 | 公的な資料の名前、変更の記録 |
記入例
架空の会社「株式会社〇〇」が、社内の問い合わせに答える仕組みに使うAIのサービスを確かめる場合の例です。
- 扱う情報の区分: 条件付き(就業規則・社内の手続きの資料。個人の情報は入れない)
- 3. 学習への利用: 「学習に使われない設定ができる」は「はい」。根拠は法人向けの利用規約の該当の条項。既定の設定は「使われない」であることも確かめた。
- 4. 保存場所と保存期間: 「保存の期間と削除の方法が示されている」は「確認中」。相手の会社に質問し、回答を待っている。
- 9. 判断: 条件付きで使う。条件は「入力する情報を就業規則と社内の手続きの資料に限る」「保存の期間の回答を得てから全社に広げる」。次の確認日は契約の更新の前。
使うときの注意
- 自社の規程・契約に合わせて直してください。 確認の項目は一般的な例です。扱う情報や業務に合わせて足したり減らしたりしてお使いください。取引先から預かった情報を扱う場合は、取引先との契約の条件も確かめます。
- 個人情報を扱う場合は、法令の確認が必要です。 個人データの取扱いを委託する場合、個人情報保護法では、委託先で安全管理が図られるよう必要かつ適切な監督を行うことが求められています(第25条)。外国の事業者に個人データを扱わせる場合の扱いは、個人情報保護委員会のガイドライン(通則編・外国にある第三者への提供編)などで確かめ、弁護士などの専門家に確かめていただくと安心です。
- 確かめた日と根拠を残してください。 利用規約や設定は変わることがあります。確かめた日と資料の名前・条項を残し、契約の更新の前などに見直します。
- ほかのひな形と合わせて使えます。 承認したツールは「生成AIの利用ルール(生成AIの利用ルール(ひな形))」の別紙に、扱う情報の区分は「入力してはいけない情報の一覧(入力してはいけない情報の一覧)」に合わせて書くと、社内の判断がそろいます。
- 公的な資料の最新版を確かめてください。 総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン」や、個人情報保護委員会の「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」などの資料は更新されることがあります。
- このひな形は参考のための資料で、監査・評価・認証に代わるものではありません。特定の製品・サービス・会社をお勧めするものでもありません。
よくあるご質問
Q確認の結果が「いいえ」の項目があったら、使えないのでしょうか?
A「いいえ」の項目があっても、入力する情報の区分を限る、設定を変える、契約で条件を加えるなどの方法で使える場合があります。どの項目がどの情報に関わるかを確かめ、判断の欄に「条件付きで使う」として条件を書いておくと、後から確かめやすくなります。
Q相手の会社にどのように確かめればよいですか?
Aまず公開されている利用規約・プライバシーポリシー・セキュリティの資料を読み、書かれていない点を質問の形で確かめる進め方があります。回答は、資料の名前・条項・日付とあわせて「根拠」の欄に残しておくと、規約が変わったときに比べやすくなります。
関連する法令・判例・指針(参考情報)
- 法令
個人情報保護法 第23条(安全管理措置)
個人情報取扱事業者は、取り扱う個人データの漏えい・滅失・毀損の防止その他の安全管理のために、必要かつ適切な措置を講じなければなりません。
個人情報の保護に関する法律・平成15年法律第57号 e-Gov 法令検索で開く
- 法令
個人情報保護法 第25条(委託先の監督)
個人データの取扱いの全部または一部を委託する場合は、委託を受けた者において個人データの安全管理が図られるよう、委託先に対して必要かつ適切な監督を行わなければなりません。
個人情報の保護に関する法律・平成15年法律第57号 e-Gov 法令検索で開く
- 法令
個人情報保護法 第27条(第三者提供の制限)
法令にもとづく場合などを除き、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはなりません。委託に伴って個人データを渡す場合などは、ここでいう第三者に当たらないとされています(第5項)。
個人情報の保護に関する法律・平成15年法律第57号 e-Gov 法令検索で開く
- 指針
個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(2023年6月2日)
生成AIサービスを使うときの個人情報の扱いの注意点です。事業者には、個人情報を含む指示の入力が利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確かめることや、入力した個人データをサービスの提供者が機械学習に使わないことなどを確かめることを求めています。
- 指針
総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン」(第1.2版(2026年3月31日))
AIを安全・安心に活用するため、AIの開発・提供・利用に関わる事業者が取り組む事項をまとめた指針です。事業者を「AI開発者」「AI提供者」「AI利用者」に分けて示しています。拘束力のない文書で、状況の変化に応じて更新されています。
法令は2026年10月26日時点の内容です。要旨は編集部が平易にまとめたもので、条文・判決・指針の全文ではありません。個別の事案への当てはめは、弁護士などの専門家にご確認ください。表記の決まりは関連する法令・判例・指針(凡例)をご覧ください。